バラの芽吹きから冬の休眠期まで、1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか追いかける「そだレポ」企画です。今回は河本バラ園の「エバンタイユドール」です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!


「エバンタイユドール」は、こんなバラ

▲「エバンタイユドール」 出展/河本バラ園

バンタイユドール(Eventail Dor)は、河本バラ園の河本純子さん2009年作出のバラです。フランス語の「Eventail Dor」を日本語に訳すと「金の扇」という意味。

 

杏色を渋くしたような茶系のバラですが、花びらの付け根あたりが黄色っぽく発色するので、まるで金色の輝きをまとったよう。花の中心から外に行くにつれ白っぽくなる花色で、ふんわりとした儚げな上品さも併せ持ちます。

 

河本純子さん作出のバラは唯一無二の品種が多いと言われますが、このバラもそうですね。シックな品の良さが際立ちます。

 

花径は8~9cm。丸弁の花びらにフリルのかかった波状弁咲き。高さ1m前後の直立ぎみの樹形に育つHT系統のバラです。香りはティ系の中~微香。香りが弱い代わりに花保ちは良い。

 

▲地植えの「エバンタイユドール」 写真提供/天女の舞子

 

「バラの家」のスコアは「樹勢/弱い」「ウドンコ病耐性/普通」「黒星病耐性/弱い」「耐陰性/とても弱い」「耐寒性/とても弱い」「耐暑性/弱い」。

 

──なかなか手ごわそうです。

 

樹高1m前後までとあまり大きくならないので鉢栽培に向きます。よく日の当たる環境で、大事に育てたいバラです。

 

今回育てる「エバンタイユドール」の環境DATA

四国の西日の当たらない南東向きの場所(日照5時間程度)

12月下旬にお迎えした大苗

今年の目標/とても弱い品種なので、1年間育てきるのを目標に

育てる人/アスタルティ

 

*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!

 

12月下旬~3月6日の「エバンタイユドール」/弱い苗の冬越し・新芽が展開

▲保温のため2重鉢に 写真提供/アスタルティ

年の12月下旬にお迎えした「エバンタイユドール」の大苗は、まず根を育てるため6号の素焼き鉢に植え替えました。

 

寒さの影響で一部の枝に黒い斑点が出ているので、保温のため2重鉢にして寒波に対処しています。

 

▲枯れ始めた枝を付け根からカット 写真提供/アスタルティ

 

しばらくすると枝が1本、枯れ始めました。最初は黒くなり始めた枝の途中で切り取り、癒合剤として「トップジンMペースト」を切り口に塗布したあと様子見です。

 

枝枯れの症状は治まりましたが、明らかに新芽に元気がありません。このままにしていてもブラインドを起こすだけなので、思い切って付け根から切り取ることに。切り取り後、切り口に「トップジンMペースト」を塗っています。

 

▲3/6 新芽が展開 写真提供/アスタルティ

 

3月になり、寒さが和らいで暖かくなってきました。「エバンタイユドール」含め、一部のバラは新芽が開いてきたので、「ベニカXファインスプレー」を軽く散布して、病気とアブラムシの予防をしています。

 

ハンドスプレーで済ましたのは、まだ新芽が開いたバラが少ないため。

 

今は芽かきをして葉の密集を防ぎつつ、苗の様子を見ています。当分の間はおそるおそる管理することになりそうです。

 

また規定量よりやや薄い目に「マイローズ バラの液体肥料」を水と混ぜて液肥を作り、すべてのバラに撒いています。

 

この時期の手入れ

2月頃 「完熟のたい肥/相原バラ園」でマルチング

 

3/6 「ベニカXファインスプレー/住友化学園芸」を若芽に少量使用しました。液肥として「マイローズ ばらの液体肥料」を薄めに散布しています。

 

元気のある苗ではないため、液肥はやや薄目に与えました。

 

まだ葉が展開していないバラが多いため、農薬は作らずに「ベニカXファインスプレー」をさっと散布することで手間を省いています。

 

要領が分からない苗なので、農薬の耐性を見つつ進めています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

育てた人紹介/アスタルティ

もともとわたしは、花にあまり興味がありませんでした。

 

転機になったのは、コロナが蔓延しはじめた2021年3月ごろ。人ごみを避けて立ち寄った園芸店で、キレイに咲いていたマーガレットを1鉢購入しました。そのマーガレットがあまりにキレイだったので、ほかにも何か──と、4月ごろに園芸店を再訪。そこで出会ったのが売れ残りらしき「リアン・ローズ」というバラでした。ほかのバラ苗は傷んでいるものが多かったのですが、「リアン・ローズ」は病気ひとつなく、元気に枝が伸びていました。

 

そんな健気なバラに元気をもらったわたしは、これも何かの縁と「リアン・ローズ」を購入。「リアン」の意味がフランス語で「絆」ということも知らなかったわたしは、知らず知らずのうちにロザリアンとして歩むことに。

 

「絆」には「しがらみ」や「呪縛」の意味もあります。わたしはバラを育てるというしがらみに囚われつつも、このそだレポで誰かの助けになればいいと考えています。

 

そう。

 

「絆」には「支えあい」や「助け合い」という意味もあるのです。

 

 

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