自宅のベランダで初めてのつるバラ「ピエール・ドゥ・ロンサール」を育てているYOUちゃん。春に株元から芽吹いたシュートが長く育ってきているのをどうしたらいいのか迷ってしまっています。今回は、シュートの管理のしかたを紹介します。

あいびー先輩、今日は株元から伸びてきたシュートをどうしたらいいのか教えてください。

そういえば、その後、ベーサルシュートはどうなったの?
・・・って、あら立派! すごく育ったわね。

はい。結構いい感じだと思うんですけど、どうですか?
そろそろ横に寝かせて誘引したらどうかと思っているんだけど──。

ほんと、いい感じに育っているわね──って!
ちょっと待って!
まだ横に寝かせちゃダメよ!
つるバラのシュートのおさらい
通常の花枝は、数センチ伸びたら花を咲かせますが、シュートは花を咲かせずどんどん伸びる若い枝です。この枝が、来年たくさん花を咲かせてくれる幹になるのです。なるべく丈夫に、長く育てたいところですね。
株元から伸びてくる勢いのいい枝をベーサルシュート、幹の途中から伸びてくる枝をサイドシュートと呼び分けています。名前は違っても、どこから伸びているかの違いだけなので、管理は同じ方法で構いません。
サッカーは付け根から切り取る!
ときどき、台木から伸びてくるシュートや、株から離れた地面から伸びてくるシュートがあります。これは、本来咲かせたい園芸品種の枝ではなくて、台木の枝です。これらは「サッカー」、または「サッカーシュート」、「吸枝」と呼ばれます。
サッカーを育ててしまうと、そちらに栄養分が取られるので、本来咲かせたい園芸品種の枝が丈夫に育つことができません。サッカーを見つけたら、根元から切り取っておきましょう。
サッカーとベーサルシュートの見分け方
サッカーとベーサルシュートはどちらも株元から発生します。見分ける方法は、接ぎ口よりも上から発生している枝ならベーサルシュート、接ぎ口よりも下から発生している枝ならサッカーです。古い株で、もうどこが継ぎ口か分からないようなら、葉の形で区別しましょう。
▲ロサ・ムルティフロラ(ノイバラ)
日本で作ったバラの苗木なら「ロサ・ムルティフロラ」が台木として使われています。ロサ・ムルティフロラの葉は長さ3~4cmの小さな葉です。花径2.5cmほどの一重咲きの純白の花を咲かせます。
ほとんどの園芸品種の葉はもっと大きいので、簡単に区別できると思います。

この株元から出ているベーサルシュートは、他のピエール・ドゥ・ロンサールと同じ大きな葉をしているから、サッカーではないわね。
来年の主幹になる、大切なベーサルシュートで間違いないわ。
つるバラのシュートが生長している間は真っ直ぐ伸ばす!

つるバラのシュートが生長している間、やってはいけないことが2つあるのね。
ひとつは、切ること。
もうひとつは、曲げること。

曲げちゃいけないの?
それじゃ誘引しちゃダメってこと?

そう。前に誘引したときを思いだして!
冬の、バラが休眠している時期に誘引したでしょ?
この枝も、休眠時期になるまで誘引しちゃダメなのよ。

そうなのね!
じつは、ちょっと風にあおられて折れてしまわないか心配だったから、もう誘引しようと思っていたのよね。
念のためあいびー先輩に相談して良かったわ。

これから台風が来るシーズンになるから、
確かにシュートを伸ばしっぱなしにしておくのは枝が折れそうで心配よね。
真っ直ぐな支柱に、枝を曲げずに真っ直ぐのまま縛って置けばいいわ。

なるほど。
横に寝かせて誘引するんじゃなくて、真っ直ぐのまま縛っておくのね。
分かったわ。
シュートを曲げるとどうなるか?

ところで、どうして真っ直ぐのままにしておかないといけないの?
曲げるとどうなるの?

この図を見てね。
左が真っ直ぐのまま管理したシュート、右が少し育ってから横に寝かせて管理したシュートよ。
枝は上に向かって伸びる性質があるから、左の真っ直ぐ管理したシュートは上に向かってどんどん長く伸びていけるのね。
でも、横に寝かせてしまった右のシュートは、そこで伸びるのをやめてしまうの。
かわりに脇から枝が出てきて、それが上に向かって伸びていくのよ。

なるほど~。
ということは、枝を長くしたいなら、真っ直ぐにしたまま生長させた方がいいのね。

そういうこと。
まず大事なのは、来年なるべくたくさん花をつけられるようにシュートを長く生長させることだからね。
十分に長く生長した後なら、何本か脇枝をのばしてもいいと思うわ。
枝数が増えれば、それだけ花が咲く枝が増えるってことだから^^
まとめ
今回は、つるバラのシュート管理のしかたを紹介しました。
つるバラのシュートでは、やってはいけないことが2つあります。ひとつは切ること、もう一つは曲げることです。とにかく真っ直ぐに生長できるように、長い支柱を立てて縛るなどしてくださいね。
ただし、ランブラー系統のつるバラなら夏のうちに誘引してしまっても大丈夫です。
8月9月は台風シーズンです。この時期に枝が折れてしまわないよう、気をつけながら管理してください。

夏はバラがぐんぐん生長する時期だから、この時期にどれだけ葉をたくさん残してちゃんと生長させられるかが、来年の花をしっかり咲かせるカギになるのよ。
害虫の防除や水やりも手を抜かずにしっかりやってね!

はぁい!
あ、そうそう、もう一つ大事な相談があったんだった!

それじゃ、その相談はまた次回に聞くね。
▼前回【夏の番外編】の記事はこちらです。