ピース

Peace

ピース

DATA

バラの系統 ハイブリッド・ティー【HT】
開花のしかた 四季咲き 一輪咲き一輪咲き
花径 15cm
花形 半剣弁高芯咲き
香り 微香
樹形 ブッシュ樹形(横張り)rose_1
作出情報 1945年 フランス/メイアン
備考 1945年 全米バラ協会賞受賞

1946年 AARS受賞

1947年 イギリスバラ協会 金賞受賞

1976年 世界バラ会議・初代殿堂入り

別名:「マダム・アントワーヌ・メイアン」「グロリア・ダイ」「ジョイア」

 

▼殿堂入りのバラについては、こちらをご覧ください。
バラを選びたい/殿堂入りのバラと、世界バラ会議について詳しくご紹介!

 

20世紀を代表する、歴史的にも交配親としても価値の高い名花、それが「ピース」

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リーム・イエローの花びらの縁をピンク色の覆輪が彩る花径15cmにもなる巨大輪のバラが「ピース」です。

1946年・AARS受賞、1947年・イギリスバラ協会「金賞」受賞、そして1976年にイギリスのオックスフォードで開催された世界バラ会議で、初代の「殿堂入りのバラ」として選ばれたことでも有名です。これ以外にも数々の賞を受賞しており、ピースはバラの名花中の名花といえます。

「世界一有名なバラは?」と問われたら、きっと多くの人が「ピース」と答えるでしょう。花色も美しく巨大輪のこのバラはとても存在感があり、見た人を一瞬で魅了してしまうほどの力があります。

 

「ピース」は第二次世界大戦後の平和のシンボル

のバラが発表されたのが1945年、品種名は英語で「平和」を意味する「peace」です。こう聞けば、誰でもピン! ときますよね。ピースは第二次世界大戦が終結した年に、世界の平和を願って名づけられたバラなのです。国連発足やサンフランシスコ講和会議にも飾られるなど、戦後の平和のシンボルとされました。日本でもミスター・ローズ鈴木省三氏とGHQ将校とのピースにまつわる逸話が残されています。

 

数々の名花を生んだ、交配親としても重要なバラ

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▲ピースを親にもつ「ガーデンパーティ」を片親に作出された「ダブルデライト」

ラとしては、花色が美しいことと、花径がずば抜けて大きいことが特徴です。バラの花は8~13cmが大輪、それ以上を巨大輪と呼び分けていますが、ピースは花径15cmもある堂々とした巨大輪です。

ピースを交配の親として生み出された名花は数多くあります。「ドゥフトボルケ」「クリスチャン・ディオール」「ダブルデライト」「ロイヤル・ハイネス」「ガーデン・パーティ」「金閣」「真珠」などなど、そうそうたる名花を生んだのがピースです。これらのピースを交配の親とする品種群は「ピース・ファミリー」と呼ばれています。

ハイブリッド・ティーの交配に強い影響を与えたピースを境に交配の歴史が変わったと見る専門家もおり、ピース以前の品種群を「アーリー・ハイブリッド・ティー」として他と区別する場合があります。

 

定期的薬剤散布が必要

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▲散った花びらも美しい!

ースは咲き始めはオレンジがかった黄色、開花するにつれ花びらの先にピンク色の覆輪が現れます。花色は春・夏よりも秋の方が美しく発色します。

ピースはがっしりとした株立ちで、大きな照り葉をもちます。育てやすさの目安にもなるAARS賞を受賞しています(当時としては強健で作りやすい品種でした)が、やや黒点病やうどんこ病を発症しやすいところがあるようです。定期的な薬剤散布が必要です。

 

「ピース」は、第二次世界大戦の戦禍をくぐりぬけた奇跡のバラ

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話をもつバラは数多くありますが、中でもピース誕生秘話は、まさに「奇跡の物語」といえます。

世界的なバラの育種会社フランスのメイアン (Meilland)社の創設者アントワーヌ・メイアンと妻グロリアの間に、1912年に生まれたのがフランシス・メイアン(Francis Meilland)です。1935年ごろフランシスは、黄色と赤の覆輪のバラを狙ってさまざまなバラの交配を繰り返していました。年間800本にものぼるさまざまな交配のバラを栽培していたフランシスは、「3-35-40」という番号を振り分けた照り葉のバラに見惚れます。

 

第二次世界大戦のさなか、「3-35-40」の番号をもつバラ苗がアメリカに渡る

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IMG_1689 / Tom Feary

ランシス27歳の年、1939年の8月にドイツがポーランドを侵攻したことをきっかけにフランス、イギリスがドイツに宣戦布告し第二次世界大戦が勃発します。翌年1940年、フランスはドイツに降伏。1941年11月、メイアン一家の住むリヨンがナチスの占領下に置かれる直前のこと、フランシスはリヨンのアメリカ総領事から一本の電話を受け取ります。当時のリヨン駐在のアメリカ総領事ウィットギル氏とフランシスは、バラを通じて交流があったのです。

「私はアメリカに帰国しなければいけない。500gまでの小包なら持って行こう」

アメリカ総領事ウィットギル氏の申し出に、フランシスは「3-35-40」と表書きした小包を託します。あの照り葉のバラの苗です。同時期にフランシスは敵国ドイツにも、イタリアにもこのバラの苗木を送っています。そして父のアントワーヌ・メイアンと相談の末、「3-35-40」の番号をもつバラを、早くに亡くなっていたフランシスの母に捧げることに決め「マダム・アントワーヌ・メイアン」と名付けて1942年に発表します。

その後リヨンでは、数万人の死傷者を出したナチスとレジスタンス軍との壮絶な戦いが繰り広げられます。これにより、フランシスの手元にあった「マダム・アントワーヌ・メイアン」は、失われてしまいます

 

戦争終結の年、「3-35-40」は「ピース」と名付けられる

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イツ、イタリアに渡った苗木は消息を絶ってしまいますが、アメリカに渡った苗木はフランシスの友人コンラッド・パイル社のロバート・パイルの手元に届いていました。ちなみにコンラッド・パイル社は、後にアメリカの種苗会社「スター・ローゼズ」となります。

ロバート・パイルの手元で大切に育てられた「3-35-40」は、その優れた資質が認められ、1945年4月29日全米バラ園芸協会により名前をつけられようとしていました。まさにそのとき、ベルリン陥落のニュースが飛び込んできて、アメリカじゅうが歓喜にわいたのです。戦争の終わりを信じ、戦争のない世界を願ってそのバラは「ピース」(peace)と命名されました。

サンフランシスコで国際連合設立の世界会議が行われた折、コンラッド・パイル社から49人の各国代表の部屋にメッセージをつけて1本のピースの切り花が届けられました。メッセージにはこう、書かれていたそうです。

 

「このバラはベルリン陥落の日に、パサディナで開かれた太平洋バラ会議で「ピース」と命名されたバラです。私共はこの「ピース」が世界の恒久平和を願う人々の想いに役立って欲しいと念じております」

 

なんともドラマティックな、まさに奇跡の物語ですね!

一方、消息不明になっていたドイツとイタリアに送った苗木もそれぞれ大切に育てられており、ドイツでは「グロリア・ダイ」(神の栄光)、イタリアでは「ジョイア」(歓喜)と命名され発売されどちらも人気を得ていました。

こうして「ピース」(米名)は、「マダム・アントワーヌ・メイアン」(フランス名)、「グロリア・ダイ」(ドイツ名)、「ジョイア」(イタリア名)の計4つの名前を持つことになったのです。

 

日本最初のピースはGHQ将校からもたらされた!

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untitled / t-miki

後、敗戦からわずか3年後の1948年に、日本の「ミスター・ローズ」と呼ばれる鈴木省三氏らの尽力により、銀座の資生堂パーラーで「バラ展」が開催されます。戦時ちゅうに「これは麦畑だ!」と偽って大切に守られてきた数百種類のバラたちでした。

これに感銘を受けたGHQ将校カーマンが、「ここにはまだピースがありませんね、来年は是非お届けしましょう」と、米軍用機に乗せて20本あまりのピースを鈴木省三氏に贈りました。これを見た鈴木省三氏は、それまで見たこともない大きさのバラに仰天したといいます。ピースは翌年に横浜で開催された貿易博覧会の「第2回バラ展」で展示されます。こうして日本に平和を象徴するバラ「ピース」がもたらされたのです。

戦争の中で必死にバラを守り続けた人たちがいたからこそ、わたしたちは今日、たくさんのバラを身近に楽しむことができるのですね!

 

枝替わりに「つるピース」などがある!

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▲「シカゴピース」

枝代わりに「つるピース」、表が赤、裏が淡い黄色の「クローネンブルグ」、全体に濃いピンク色で中心が黄色の「シカゴピース」などがあります。

 

口コミと値段の目安

バラ苗ショップからのコメント

第二次世界大戦の1945年に平和への願いをこめて名づけられた名花。半剣弁高芯咲きで、クリームイエローに桃色覆輪の巨大輪。バラの改良の歴史上、きわめて重要な品種。「ピース」を知らずしてバラを語るべからずと言わしめる品種。WFRS「バラの栄誉の殿堂」入りを果たした第一号品種。(篠宮バラ園)

 

ロザリアンの口コミ

ピースは咲き始めはなんてことない剣弁咲きの黄色のバラです。しかし開花が進むと柔らかなクリーム色になり、花びらのふちに甘いピンクがのります。夢見るようなすばらしい色合いです。ピースのこの透明感のある色彩と大きな花のインパクトは確かにすごい。

残念ながら香りはありません。

一年を通してぽつりぽつりと開花しますが、花付き自体はあまり良くない印象。・・・黒点病を上手く抑えられれば違うかもしれませんが。

 

バラ苗の値段の目安

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まとめ

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第二次世界大戦直前にフランスで作出され、戦禍を逃れてアメリカで発表されたピース。人々のバラへの情熱と平和を願う心が響いてくるエピソードが胸を打ちますね。しかも初代の殿堂入りを果たしたバラとしても有名ですから、どちらのサイトでもたくさんの方がエピソードを綴っていらっしゃいました。

そのせいか、販売しているショップもどこも同じ文句ですし、育てているロザリアンさんも実際に育ててみての感想を書いている方は少なかったです。きっと書くことがありすぎるせいですね!

クリーム・イエローの花びらにピンクの覆輪がかかるこのバラは確かに美しいのですが、どうやら品種としては劣化しているという記述を見かけました。作出されてから70年以上。作出当時の輝くばかりの美しさは、現在見られるピースとは比べ物にならないほど素晴らしかったというのです。そう聞くと、作出当時のピースが見てみたくてたまらなくなります!

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