バラの咲き方には、花枝の先に一輪だけ咲かせる「一輪咲きタイプ」と、花枝の先が枝分かれして一本の花枝の先にいくつもの花を咲かせる「房咲きタイプ」があります。それぞれ花が咲いたときにどんな風になるのか、バラを選ぶときの参考になるようご紹介します。

枝先に一輪の花を咲かせるのが「一輪咲き」

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先に花を一輪だけ咲かせるタイプを「一輪咲き」と呼びます。ただしこの呼び方は、切り花のバラではメジャーですが、庭植えのバラでは馴染みのある呼び方ではありません。ここでは他と区別して分かりやすい呼び方なので、庭植えのバラでも「一輪咲き」という呼び方をしています。

 

ブッシュ樹形の一輪咲きは、凛とした咲き方

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ッシュ樹形で一輪咲きのバラは、イブリッド・ティー系統に代表されます。株から立ち上がった枝先に、一輪ずつ空に向かって花を咲かせる様子がとても凛とした雰囲気です。花数は枝数x1です。幹から伸びた枝先が10本あるとすれば、1株あたり10輪の花を咲かせます。

大輪の花を咲かせる品種が多く、一輪ずつが見ごたえがあります。花枝が長いので切り花に利用しやすいバラです。

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▲ブッシュ樹形で一輪咲きのバラの庭

しっかりとした枝なら大輪の花を支えられますが、花の大きさのわりに枝が細いと花がうつむいて咲いてしまいます。たとえばモダン・ローズ第一号として名高い「ラ・フランス」は、枝が細く、花がうつむきがちです。

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▲モダン・ローズ第一号の「ラ・フランス」

 

シュラブ樹形やつるバラの一輪咲きは、花が重いとうつむいて咲く

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ュラブ樹形やつるバラのように枝先が細く長い樹形の一輪咲きは、主幹(幹)から伸びた花枝の先に一輪ずつ花を咲かせます。花数は花枝の数x1です。一本の主幹(幹)にいくつも花枝が発生しますので、一株に咲く花数は、ブッシュ樹形の一輪咲きよりもたくさんの花が咲きます。

我が家のつるバラ、ピエール・ドゥ・ロンサールはつる(主幹)が5本、それぞれのつるに花枝が10本ほど発生しています。計算上は、1株につき50輪の花が咲きます。

枝先が細く長い樹形の一輪咲きは、花の重さを花枝が支えられずに、うつむいて咲くタイプが多くあります。

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▲誘引せず自然に茂らせたシュラブ樹形のバラ

誘引せずに育てたシュラブ樹形のバラは、花の重みで枝先が自然なアーチを描いてしだれます。しだれた枝の表情は、ブッシュ樹形よりも優しく自然な印象です。

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▲花枝が細くて長い「ピエール・ドゥ・ロンサール」

花の美しさで人気の「ピエール・ドゥ・ロンサール」は、花枝が細くて長いので、大輪の花を支えることができずうつむいて咲きます。このタイプのバラは、高い位置に誘引して、花を見上げるように観賞できるよう仕立てると効果的です。

 

花枝の先が枝分かれして、ブーケのように花を咲かせる「房咲き」

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先に一輪だけしか花をつけない「一輪咲き」に対して、花枝の先がいくつにも枝分かれしてこんもりとブーケのように花を咲かせるのが「房咲き」です。この性質は、日本原産のロサ・ムルティフロラ(ノイバラ)から受け継がれた性質です。

切り花のバラでは、枝分かれして咲くバラを「スプレー咲き」と呼んでいます。庭に咲かせるバラでは「スプレー咲き」という言い方はせず「房咲き」というのが通常ですが、ときに庭植えのバラでも「フプレー咲き」と書かれていることがあります。

 

ブッシュ樹形で房咲きするバラの代表は、フロリバンダ系統

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ッシュ樹形で房咲きするバラの代表は、フロリバンダ系統のバラです。「フロリバンダ」という系統名は「花束」という意味をもちます。

一房あたりの花数は品種により異なります。少ないものなら2~3輪のものもあり、多いものなら10輪近く咲かせる品種もあります。たとえば一房に5輪の花を咲かせる品種で、幹から伸びた枝先が10本あるとすれば、1株あたりの花数は枝数x550輪です。

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▲フロリバンダの名花、アイスバーグを中心にしたホワイト・ガーデン

フロリバンダ系統のバラは中輪タイプなので、一輪の花の豪華さではどうしても「一輪咲き」のバラに負けます。でも房咲きするので花数が多く、庭全体を賑やかに彩ってくれるバラです。フロリバンダ系統のバラは、庭づくりに欠かせないバラといわれます。

 

シュラブ樹形やつるバラの房咲きは、もっとも花数が多い

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いつる(主幹=幹)のあちこちから花枝をのばし、その先に花束状に花を咲かせるのがシュラブ樹形やつる樹形の房咲きするバラです。一房あたりの花数は品種により異なりますが、つるが長くなればなるほど多くの花枝を伸ばすので、それだけ1株あたりの花数は増えます。一株に咲く花数が最も多いのが、このタイプのバラです。

たとえば一房に5輪の花を咲かせる品種だとすれば、花数は花枝x5です。我が家のアンジェラでは、5本のつる(主幹)が出ていて、1本のつる(主幹)あたり25本ていどの花枝が発生しています。1株あたり125本の花枝がある計算になります。125本の花枝にそれぞれ5輪ずつ咲くとすれば、計算上の1株あたりの花数は625輪です。(実際はもうちょっと少ないです)。

シュラブ樹形やつる樹形の房咲きするバラには、圧倒的な花数の多さで景色を一変させてしまうほどの力があります。上手に庭に取り入れたいバラです。

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▲中輪房咲きのフロリバンダ系統のつるバラ「アンジェラ」

フロリバンダ系統のシュラブ樹形のバラやつるバラは、中輪の花。アーチやフェンスなどを賑やかな色で染め上げます。

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▲小花を房咲きするランブラー系統のつるバラのアーチ

ランブラー系統のつるバラは、ほとんどが小花です。つる(主幹)が長く、しかも1房あたりの花数が10輪を越えるものがほとんどなので、1株あたりの花数はどのバラよりも多く、数えきれないほど咲きます。

中輪房咲きのフロリバンダ系統のつるバラが賑やかな印象になるのに比べて、ランブラー系統のつるバラはたくさん咲いていても小花なのでどこか軽やかな印象です。花を支える花柄が長い品種は花がうつむいて咲くので、いっそう優しげな印象になります。

 

まとめ

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どんなバラを植えようか、選ぶときにはその花だけでなく、咲いたときに景色としてどんな風に見えるのかを想像して選びたいものです。

ここでは、ブッシュ樹形の一輪咲き、シュラブとつる樹形の一輪咲き、ブッシュ樹形の房咲き、シュラブとつる樹形の房咲きという4つの種類の咲き方を、イラストと写真を多用して視覚的にご紹介しました。

バラ選びの参考にしてくださいね!

 

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